COLUMN
コラム
テクノロジーで壁を美しく、機能的に
美しさだけでなく、内装には高い機能性を
建築におけるテクノロジーはわたしたちの暮らしの快適性と健康の向上に大切な役割を果たします。この記事では高機能な内装材を適切に選択するため、
についてご説明します。
● 内装材に求められる機能性
● 内装材を賢く選択するためのキーワード
● 現在販売されている高機能な内装材の実例
● 内装材を賢く選択するためのキーワード
● 現在販売されている高機能な内装材の実例
についてご説明します。
内装材の機能性は人の生活に影響する
内装材は単にインテリアの一要素ではなく、住み心地や健康に関わる住環境に影響する建築の大切な要素です。特に内壁に施工するクロスやパネルなどに付加されていると好ましい機能性の中には下記のようなものがあります。
シックハウス症候群とは、有機化合物ホルムアルデヒドが人体に引き起こす目・鼻などへの刺激、頭痛、吐き気などの症状のことで、新築・リフォーム後しばらくの期間そこに過ごす人に影響を与えることがあります。シックハウスの「ハウス」という表現からは主に住宅で起こるとの印象を受けるかもしれませんが、どんな建築物でも起こりうる問題です。
日本では古くから建築資材の主流であった木材や土や紙に替わって、化学的に製造された物質でできた「新建材」の普及が本格化した1960年代以降にシックハウス症候群が広がったと言われています。1990年代に厚生省がホルムアルデヒドのガイドラインを告示し、2003年に改正建築基準法でホルムアルデヒドの使用の規制が明確化されると、社会でも広く認知されるようになりました。
現在では、ホルムアルデヒドの使用に関する法規制は基本的に行き届いていると言えるでしょう。しかし、建築物の気密性が高まるにつれて、シックハウス症候群はより発症しやすくなっていく可能性も考えられるため、シックハウス症候群は今後も十分に注意が必要な問題です。
内装材でできるシックハウス症候群対策は、まず低ホルムアルデヒドやノンホルムアルデヒドの製品を使用することです。さらにホルムアルデヒドを吸着する機能を有した建材もあり、そのような建材を積極的に使用することにより健康的な住空間を創ることができるかもしれません。
2020年に始まった新型コロナウイルスのパンデミック以降、建物の内部でも幅広い感染症対策が求められるようになりました。そのためにできる対策の一つが、内装各所に「抗菌・抗ウイルス」機能を備えることです。
これは読んで字の通り建材表面に付着した菌やウイルスの繁殖を抑える機能のことですが、菌とウイルスでは繁殖方法が異なります。それで「抗菌」「抗ウイルス」それぞれの機能も似ているようで異なる機能なので、混同しないようにしましょう。つまり、抗菌機能があるからといってコロナウイルスにも有効な抗ウイルス機能が備わっているわけではありません。もちろん、漆喰(しっくい)のように双方の機能を併せ持つ建材もあります。
漆喰はPh12以上の強いアルカリ性で抗菌・抗ウイルス効果が期待できる建材です。漆喰は日本においても古くから愛用されてきた建材の一つですが、近年開発された建材の中には漆喰の抗菌・抗ウイルス効果を応用した内装材も多数用意されています。また、頻繁にアルコール消毒を行わなければならない箇所には耐薬品性の高い建材が望ましいでしょう。
人間が心地よく過ごせる湿度は40〜60%が目安です。湿度が40%を下回ると人体は喉の乾燥やドライアイによる不快感を感じるようになり、インフルエンザなど空気中のウイルスも活性化してしまいます。逆に湿度60%を超えた空気は人体にはジメジメと不快に感じられるようになり、カビやダニなどが繁殖しやすくなってしまいます。人間にとっては湿度が40〜60%の間で安定しているのが理想ですが、季節や天候、使用環境により湿度は大きく変動します。
この湿度の変動を極力抑えるためには、調湿機能をもつ内装材を施工することが有効です。調湿機能を持つ建材は、湿度が高くなれば空気中の水分を吸収し、逆に湿度が低くなれば水分を放出することによって湿度を安定させる働きをします。
シックハウス症候群対策機能
シックハウス症候群とは、有機化合物ホルムアルデヒドが人体に引き起こす目・鼻などへの刺激、頭痛、吐き気などの症状のことで、新築・リフォーム後しばらくの期間そこに過ごす人に影響を与えることがあります。シックハウスの「ハウス」という表現からは主に住宅で起こるとの印象を受けるかもしれませんが、どんな建築物でも起こりうる問題です。
日本では古くから建築資材の主流であった木材や土や紙に替わって、化学的に製造された物質でできた「新建材」の普及が本格化した1960年代以降にシックハウス症候群が広がったと言われています。1990年代に厚生省がホルムアルデヒドのガイドラインを告示し、2003年に改正建築基準法でホルムアルデヒドの使用の規制が明確化されると、社会でも広く認知されるようになりました。
現在では、ホルムアルデヒドの使用に関する法規制は基本的に行き届いていると言えるでしょう。しかし、建築物の気密性が高まるにつれて、シックハウス症候群はより発症しやすくなっていく可能性も考えられるため、シックハウス症候群は今後も十分に注意が必要な問題です。
内装材でできるシックハウス症候群対策は、まず低ホルムアルデヒドやノンホルムアルデヒドの製品を使用することです。さらにホルムアルデヒドを吸着する機能を有した建材もあり、そのような建材を積極的に使用することにより健康的な住空間を創ることができるかもしれません。
抗菌・抗ウイルス機能
2020年に始まった新型コロナウイルスのパンデミック以降、建物の内部でも幅広い感染症対策が求められるようになりました。そのためにできる対策の一つが、内装各所に「抗菌・抗ウイルス」機能を備えることです。
これは読んで字の通り建材表面に付着した菌やウイルスの繁殖を抑える機能のことですが、菌とウイルスでは繁殖方法が異なります。それで「抗菌」「抗ウイルス」それぞれの機能も似ているようで異なる機能なので、混同しないようにしましょう。つまり、抗菌機能があるからといってコロナウイルスにも有効な抗ウイルス機能が備わっているわけではありません。もちろん、漆喰(しっくい)のように双方の機能を併せ持つ建材もあります。
漆喰はPh12以上の強いアルカリ性で抗菌・抗ウイルス効果が期待できる建材です。漆喰は日本においても古くから愛用されてきた建材の一つですが、近年開発された建材の中には漆喰の抗菌・抗ウイルス効果を応用した内装材も多数用意されています。また、頻繁にアルコール消毒を行わなければならない箇所には耐薬品性の高い建材が望ましいでしょう。
調湿機能
人間が心地よく過ごせる湿度は40〜60%が目安です。湿度が40%を下回ると人体は喉の乾燥やドライアイによる不快感を感じるようになり、インフルエンザなど空気中のウイルスも活性化してしまいます。逆に湿度60%を超えた空気は人体にはジメジメと不快に感じられるようになり、カビやダニなどが繁殖しやすくなってしまいます。人間にとっては湿度が40〜60%の間で安定しているのが理想ですが、季節や天候、使用環境により湿度は大きく変動します。
この湿度の変動を極力抑えるためには、調湿機能をもつ内装材を施工することが有効です。調湿機能を持つ建材は、湿度が高くなれば空気中の水分を吸収し、逆に湿度が低くなれば水分を放出することによって湿度を安定させる働きをします。
内装材を選ぶ際に覚えておきたいキーワード
建材の機能性を示すキーワードは多くあります。中にはあまり耳に馴染みのない言葉も含まれるかもしれませんが、言葉の意味を理解しておけば使用する建材のより高度な選択が可能になります。
下記に建材の機能性に関する代表的なキーワードをいくつかご紹介します。
ホルムアルデヒドをどれほど発散する建材であるかは「F」と「☆」を組み合わせた記号を使い、下記のようになります。
ホルムアルデヒド発散速度が0.12以上のものには☆マークは付かず、その建材の使用は建築基準法によって禁止されています。
揮発性有機化合物をVOCといい、住まいの中で人体に悪影響を及ぼすVOCは400種以上あるとされています。
その多数のVOCの中で特に代表的な「トルエン」「キシレン」「エチルベンゼン」「スチレン」をまとめて4VOCと呼び、これらの発散が抑えられている建材などの製品が「4VOC基準適合」などと称されます。
F☆☆☆☆が建築基準法に基づいた分類であるのに対し、「4VOC基準適合」は業界団体が自主的に策定したもので、商標登録もされています。
FSC(Forest Stewardship Council)は、貴重な資源である森林の適切な管理の普及を目的として活動する国際的なNGOです。
このNGOが発行する「FSC認証」は、適切に管理された森林から作られた製品に付与されます。いわばSDGsによって近年広く認知されるようになった持続可能な社会のため環境に配慮された製品であることを認証するもので、主に木材を使用した建材に付与 されます。
下記に建材の機能性に関する代表的なキーワードをいくつかご紹介します。
F☆☆☆☆(エフフォースター)
ホルムアルデヒドをどれほど発散する建材であるかは「F」と「☆」を組み合わせた記号を使い、下記のようになります。
● F☆☆☆☆…ホルムアルデヒド発散速度0.005以下。使用上の制限なし
● F☆☆☆…ホルムアルデヒド発散速度0.005を超え0.02以下。使用面積に制限あり
● F☆☆…ホルムアルデヒド発散速度0.02を超え0.012以下。使用面積に制限あり
※ホルムアルデヒド発散速度(mg/㎡h)は気温28℃、相対湿度50%の条件下で測定
● F☆☆☆…ホルムアルデヒド発散速度0.005を超え0.02以下。使用面積に制限あり
● F☆☆…ホルムアルデヒド発散速度0.02を超え0.012以下。使用面積に制限あり
※ホルムアルデヒド発散速度(mg/㎡h)は気温28℃、相対湿度50%の条件下で測定
ホルムアルデヒド発散速度が0.12以上のものには☆マークは付かず、その建材の使用は建築基準法によって禁止されています。
4VOC基準
揮発性有機化合物をVOCといい、住まいの中で人体に悪影響を及ぼすVOCは400種以上あるとされています。
その多数のVOCの中で特に代表的な「トルエン」「キシレン」「エチルベンゼン」「スチレン」をまとめて4VOCと呼び、これらの発散が抑えられている建材などの製品が「4VOC基準適合」などと称されます。
F☆☆☆☆が建築基準法に基づいた分類であるのに対し、「4VOC基準適合」は業界団体が自主的に策定したもので、商標登録もされています。
FSC認証
FSC(Forest Stewardship Council)は、貴重な資源である森林の適切な管理の普及を目的として活動する国際的なNGOです。
このNGOが発行する「FSC認証」は、適切に管理された森林から作られた製品に付与されます。いわばSDGsによって近年広く認知されるようになった持続可能な社会のため環境に配慮された製品であることを認証するもので、主に木材を使用した建材に付与 されます。
おすすめの高機能内装材
これまで考えたような高い機能性をもつ建材を下記にいくつかご紹介します。
【主な機能】防カビ・調湿・消臭・ホルムアルデヒド吸着
「漆喰ルマージュ」は、本来なら湿式工法で施工難易度の高い漆喰をシート状にし、貼り付けるだけの施工性の高さを実現した製品です。
アルカリ性で菌の繁殖を防ぐ漆喰の特性を十分に活かし、カビの発生を抑える機能だけでなく、新型コロナウイルスを99%以上不活性化する効果も確認されています。加えて、いやなニオイの原因になる硫化水素を吸着して拡散を防ぐ消臭効果もあります。
【主な機能】調湿機能・ホルムアルデヒド吸着分解・FSC認証
「さらりウォール」とは株式会社ナガイの壁紙「エコフリース」とチヨダウーテ株式会社の調湿石膏ボード「さわやかFCボード」を組み合わせて施工する製品です。この組み合わせで施工すれば通常の石膏ボード+壁紙の内壁の約6倍の調湿性能を発揮し、室内を快適に保ちます。壁紙「エコフリース」には珪藻土が使用され、塗り壁のようなマットな質感が楽しめます。
【主な機能】抗菌・抗ウイルス・消臭・対薬品性・耐熱性
ウイルテクトは抗菌・抗ウイルス・消臭機能等の衛生的な機能を持つ素材ではありますが、さらに対薬品性・耐摩耗性などにも優れ、消毒液などで繰り返し清掃を行っても問題ない耐久性を兼ね備えています。ウイルテクトには何種類かのラインナップが用意されており、病院・介護施設・教育施設の内壁、水回り、造作家具の天板など、住まいの中の様々な場所に施工することができます。
漆喰(しっくい)ルマージュT / 株式会社FLトクヤマ
【主な機能】防カビ・調湿・消臭・ホルムアルデヒド吸着
「漆喰ルマージュ」は、本来なら湿式工法で施工難易度の高い漆喰をシート状にし、貼り付けるだけの施工性の高さを実現した製品です。
アルカリ性で菌の繁殖を防ぐ漆喰の特性を十分に活かし、カビの発生を抑える機能だけでなく、新型コロナウイルスを99%以上不活性化する効果も確認されています。加えて、いやなニオイの原因になる硫化水素を吸着して拡散を防ぐ消臭効果もあります。
さらりウォール / 株式会社ナガイ
【主な機能】調湿機能・ホルムアルデヒド吸着分解・FSC認証
「さらりウォール」とは株式会社ナガイの壁紙「エコフリース」とチヨダウーテ株式会社の調湿石膏ボード「さわやかFCボード」を組み合わせて施工する製品です。この組み合わせで施工すれば通常の石膏ボード+壁紙の内壁の約6倍の調湿性能を発揮し、室内を快適に保ちます。壁紙「エコフリース」には珪藻土が使用され、塗り壁のようなマットな質感が楽しめます。
ウイルテクトPlus / アイカ工業株式会社
【主な機能】抗菌・抗ウイルス・消臭・対薬品性・耐熱性
ウイルテクトは抗菌・抗ウイルス・消臭機能等の衛生的な機能を持つ素材ではありますが、さらに対薬品性・耐摩耗性などにも優れ、消毒液などで繰り返し清掃を行っても問題ない耐久性を兼ね備えています。ウイルテクトには何種類かのラインナップが用意されており、病院・介護施設・教育施設の内壁、水回り、造作家具の天板など、住まいの中の様々な場所に施工することができます。
著者(澤田 秀幸)プロフィール
CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。
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