思いを形に!店舗設計の基礎知識と内外装の選び方を解説
自分の店舗を出すことを目標にしている方にとって、店舗設計はまさに夢を形にするステップです。
開業後の様子を思い描くだけで気持ちも高まりますが、一方で「店舗設計はどのように進めたらいいのか」「どんな業者に依頼するのか」などさまざまな疑問があるのではないでしょうか。特に初めて店舗を開く方は、開業まで不安な思いが強いものです。少しでもそんな不安を少なくするためには、事前に店舗設計について基本的な内容をつかんでおくのがおすすめです。
この記事では、店舗の新規開業やリニューアルを進めようと考えている方のために、店舗設計の概要や流れ、内装材・外装材選びのポイントを紹介します。店舗設計を検討中の方はぜひ参考にしてください。
1.店舗設計とは
店舗設計とは、店舗のコンセプトに沿ってレイアウトや内外装、インテリアなどを計画・設計する作業です。
設計作業だけを指す場合もありますが、設計図を踏まえて工事をして初めて店舗が完成するので施工作業までを含むのが一般的です。
設計施工に加えて、店舗のブランディングや集客に関する提案まで行うことを店舗デザインと呼ぶこともあります。
店舗設計と店舗デザインははっきり線引きされているわけではありませんが、店舗デザインの場合は経営に関する知識も必要なため、業者選びにおいてはどこまで依頼するのかを施主側が決めておくことが大切です。
2.店舗設計の基本的な流れ
事業計画書を立案する段階で、大まかにでも開業までの期間はほぼ決まっています。
設計に入るとさまざまな部分で検討する項目が出てきて予定通りには進まないことが多いため、焦って妥協してしまわないよう余裕をもって早めに設計に着手するのがおすすめです。
まずは店舗設計の基本的な流れを把握しておきましょう。
店舗のコンセプトを決める(開業6~12ヶ月前)
コンセプトとは「理念」「方針」といった意味で、店舗経営においてとても重要なポイントになります。
コンセプトに合わせて店舗の内外装を設計していくため、設計前に明確にしておくことが重要です。
具体的には取り扱う商品、販売価格帯、販売方法、営業時間、中心となるターゲット層などを決めていきます。
物件を選ぶ(開業4~6ヶ月前)
コンセプトが決まったら次は開業する店舗の物件選択に移ります。
コンセプトに沿ったエリアかどうか、狙うターゲット層が多いか、競合他店がどれくらいあるかといった事前調査をしっかり行いながら絞り込むといいでしょう。
開業資金において物件にかかる費用と店舗設計にかかる費用は大きな割合を占めるので、資金全体のバランスを見ながら家賃の目安を決めておくとスムーズです。
また、ゼロから工事を行うスケルトンのパターンか、内部のレイアウトや厨房施設などを引き継ぐ居抜きのパターンかによって店舗設計にかかる予算が大きく変わることも頭に入れておきましょう。
店舗設計業者を選び設計監理契約を結ぶ(開業3~5ヶ月前)
物件が決まったら、店舗設計業者を検討します。店舗のコンセプトを伝え、物件の現場調査をしてもらった上で見積を出してもらいますが、必ず複数の業者に依頼して相見積を取り比較検討することが重要です。
業者によって得意なデザインや工事が異なるので、同じ見積依頼をしても提案内容や見積金額が変わるからです。
見逃せないのは担当者との相性。念願の店舗を形にするにあたって数ヶ月お付き合いする相手ですから、契約前のやり取りにおいて自分の思いを汲んでくれるか、プラスαの提案をしてくれるか、レスポンスが早いかなど担当者の対応もチェックしましょう。
注意したいのは、基本設計や見積を行ってから契約する業者と、契約してから基本設計や見積を行う業者がいることです。初回の打ち合わせ時に、基本設計や見積と契約とのタイミングについてきちんと確認しておくとトラブルになりません。
実施設計を依頼する(開業2~4ヶ月前)
基本設計によって店舗内のレイアウトや内外装のデザインが固まってきたら、設備や建材などの仕様や細かい寸法調整などを実施設計で行います。
実施設計は施工図面が完成できる精度まで決めていく作業で、新築物件の場合は役所へ提出する確認申請書類も同時進行で作成します。実施設計で内容が決まった後は、大きな設計変更はできないと考えておきましょう。
施工業者に工事見積を依頼し工事請負契約を結ぶ(開業2~4ヶ月前)
実施設計図面をもとに、次は施工業者の選定に入ります。
店舗設計の場合は設計事務所や店舗デザイン会社に設計を、施工業者に施工を依頼する形が一般的です。
店舗設計業者との連携が取れている施工業者だと工事がスムーズにいくことが多いので店舗設計業者から紹介してもらうのも、ひとつの方法です。
着工~竣工(開業2~0.5ヶ月前)
工事請負契約が完了したら、施工業者は工程表の作成を行い着工します。
工事中は店舗設計業者が現場に赴いて工事に立ち会い、実施設計図面通りに工事が行われているかをチェックします。築年数が古いビルなどが現場の場合、着工後に天井や壁・床部分や配管などに思わぬ不具合があることも少なくないので、その都度調整を行いながら工事を進め竣工となります。
竣工後は、引き渡しの前に設備やレイアウト、内外装などの不具合がないかを施主立ち会いのもとチェックする竣工検査が必須です。不具合があれば再工事を行い、竣工検査を再度行います。
開業
竣工検査が終わって引き渡しを受けたら、開業準備に入ります。
什器や家具などを搬入し、店舗内の装飾も進めましょう。スタッフを雇う場合は開業前の研修、ユニフォームの準備なども必要です。
設備や内外装において開業後に不具合が出たら、店舗設計業者に連絡します。工事の保証期間など契約内容によって補修工事の費用負担などの条件が変わるので、実施設計図面や契約書を確認して交渉することが大切です。
3.おしゃれで実用的!おすすめの店舗向け内装材
店舗の内装材は、コンセプトに合う色やデザインであること、不特定多数の人が出入りするため耐久性があること、業種に合わせて不燃性や吸音性、防音性などの機能を持つことなどを考慮して選ぶ必要があります。
おしゃれと実用性の双方を実現できるおすすめの内装材を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
パレット古材 フローリング
人工大理石タイル
柾割加工竹
スライディングウォール
4.耐久性もデザインも◎!おすすめの店舗向け外装材
店舗の外装材は、高い耐久性でメンテナンスが楽なことや視認性の高いデザイン・色が選べることが重要です。
店舗名を伝える看板もデザインや大きさにこだわりたいですね。
おすすめの店舗向け外装材を紹介しますので、設計時の参考にしてみてください。
アルミストーン
ブロックフェイス
ロートアルミ
木製サイン・ディスプレイ
まとめ
念願の店舗を持つためにはさまざまな準備が必要ですが、多くの予算を割いて行う店舗設計は特に慎重に進めたいステップです。
とはいえ、最近は店舗設計業者に一任せず自分のこだわりをしっかり反映させる店舗づくりが主流になっているので、施主としても店舗設計の基礎知識は押さえておく必要があるでしょう。
今回の記事を参考に、納得のいく店舗設計で自分の思いを形にしてみてくださいね。
住宅やオフィス・店舗などの設計およびインテリアコーディネート、新築分譲マンションの設計変更などを担当。
建築関連企業の社員研修外部講師、インテリアコーディーネーター資格対策テキスト監修、工務店の施工事例集ディレクションなどの実績も多数。
▼略歴
住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リノベーション設計企画会社で10年勤務したのち独立。
主に住宅を中心としたリフォームやリノベーションを担当。
新築分譲マンションの設計変更やインテリアコーディネート業務にも携わる。
▼保有資格
二級建築士、インテリアコーディネーター、防災備蓄収納1級プランナー。