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コラム
住宅価格が高騰中!値上がりはいつまで続く?
2022年に入り、連日のように、さまざまな商品が値上げされるというニュースが取り上げられています。住宅も例外ではなく、住宅設備や建材、建具、工事費用などが値上げされており、住宅価格も高騰している状態です。
この値上がりは、いつまで続くのでしょうか。
今回は、住宅価格の値上がりや今後の展望について説明していきます。
この値上がりは、いつまで続くのでしょうか。
今回は、住宅価格の値上がりや今後の展望について説明していきます。
住宅価格は2020年からどのくらい値上がりした?
物価は少しずつ上昇していくものであり、日銀も「物価上昇率2%」を目指して金融緩和を続けてきました。しかし、住宅価格はこの2年間で大幅に上昇したため、購入に対して不安を抱いている方も多いでしょう。
木造住宅の価格は2020年4月と2022年2月を比べると、なんと10%以上も値上がりしています。これは2020年4月には3,000万円で建てられていた木造住宅が、2022年には3,300万を払わないと建てられないということです。
参考:国土交通省「建設工事費デフレーター」
パーセンテージで見るとイメージがつきにくいのですが、具体的な数字を当てはめてみると、10%の値上げ率の影響がいかに大きいかがわかります。
なぜ、住宅価格が大幅に値上がりしてしまったのでしょうか。
木造住宅の価格は2020年4月と2022年2月を比べると、なんと10%以上も値上がりしています。これは2020年4月には3,000万円で建てられていた木造住宅が、2022年には3,300万を払わないと建てられないということです。
参考:国土交通省「建設工事費デフレーター」
パーセンテージで見るとイメージがつきにくいのですが、具体的な数字を当てはめてみると、10%の値上げ率の影響がいかに大きいかがわかります。
なぜ、住宅価格が大幅に値上がりしてしまったのでしょうか。
住宅価格が高騰している4つの原因
なぜ住宅価格は、たった2年の間に10%も上昇したのでしょうか。住宅価格が急に値上げされたのは、建築資材費・住宅設備費が高くなったことが原因です。
ではなぜ、これらの費用は急に値上がりしてしまったのでしょうか。
日本では住宅に関わるさまざまな素材を輸入に頼っています。そのため、運搬料金の上昇は住宅価格にも影響を与えてしまうのです。
もともと2019年から起こっている米中貿易摩擦の影響により、世界のコンテナ生産の98%を占める中国の新規コンテナの生産量は減少傾向にありました。
そこに追い討ちをかけるように新型コロナウイルスが蔓延し、生産数はますます減少。さらにはパンデミックによって港湾作業員不足になり、輸入港での荷役作業が停滞してしまいました。
これにより、世界的なコンテナ不足に陥ってしまったのです。
コンテナの需要に対して供給が追いついていないため、もちろん料金は上昇。スポット運賃は2〜6倍にまで跳ね上がりました。
住宅資材や設備に必要な素材を輸入するための費用の上昇が、住宅価格の値上げが続いている原因の一つです。
鉄の輸入価格の上昇も、住宅価格の上昇に大きく関係しています。
住宅のキッチンや窓サッシ、エアコンなどの設備、ガルバリウム鋼板などをつくるためには鉄がたくさん必要です。
鉄は住宅に欠かせない原材料なので、鉄の輸入価格の高騰は住宅価格にも影響を与えます。
鉄の価格が上昇した背景には、ウッドショックと同様に米中での住宅需要の増加が関係しており、中国が鉄鉱石を高値で買い取っていることが原因だといわれています。
世界銀行が発表している国際取引価格によると、2019年12月と比べて2021年6月には、鉄鉱石の価格が130%もアップし、現在も価格高騰が止まらない状態です。
「輸入価格が上昇したのなら自国で補えばいい」と思うかもしれませんが、日本では鉄鉱石を掘るためのコストがかかりすぎるため、鉄鉱山のほとんどが閉鎖されています。
鉄鉱石を輸入に100%頼っている日本は、世界的な鉄鉱石の価格高騰の影響によって住宅資材や設備を値上げせざるを得なくなってしまったのです。
中国での鉄鉱石需要はすぐに収まるとは考えにくいので、鉄鉱石の価格の上昇はしばらく続くと予想されます。
ロシアのウクライナ侵攻は、日本の住宅価格にも影響を与えています。
2022年2月に開始されたロシアのウクライナ侵攻を受け、日本政府はロシアに対してさまざまな経済措置を取り、輸入の禁止も行いました。
政府が定めた輸入禁止対象の一つにはロシア産木材も含まれており、これまでは安価にたくさん輸入していた木材を突然入手できなくなってしまったのです。
そしてロシア側も日本を「非友好国」とし、2022年末まで木材チップ・丸太・単板などの木材製品の輸出を一切禁止すると発表しました。
日本が輸入していた単板は約8割をロシア産が占めていたため、輸出禁止によって木材需給のバランスが大きく崩れてしまったのです。
そしていま最も懸念されているのが、合板不足による「合板(ベニヤ)ショック」です。合板の表面に使われていたロシア赤松が手に入らなくなったことで、合板の生産は2割ほど減り、さらに接着剤の原材料である原油価格の高騰も相まって価格はどんどん上昇。2021年3月と2022年6月を比べると、合板の価格は2倍に高騰しています。
コロナ禍による木材不足に加えて、ロシアのウクライナ侵攻による輸入禁止措置が、木材不足にさらに拍車をかけている状態です。
2022年に入って円安が加速し、一時1ドル=136円台後半という約24年ぶりの円安・ドル高水準を叩き出しました。円安になると輸入をするための費用が増えるので、これまでよりも仕入れ価格が高くなってしまいます。
ここまで説明したように、日本は住宅を建てるために必要な資材の多くを輸入に頼っているため、円安による影響は非常に大きいです。
コロナ禍によるウッドショックやアイアンショック、コンテナ料金の上昇、さらにウクライナ情勢によって素材が上昇している状態に、円安による輸入費用の増加。
住宅会社や設備メーカー側も、事業を続けるためには値上げをせざるを得ない状態なのです。
ではなぜ、これらの費用は急に値上がりしてしまったのでしょうか。
コロナ禍による運搬(コンテナ)料金の上昇
日本では住宅に関わるさまざまな素材を輸入に頼っています。そのため、運搬料金の上昇は住宅価格にも影響を与えてしまうのです。
もともと2019年から起こっている米中貿易摩擦の影響により、世界のコンテナ生産の98%を占める中国の新規コンテナの生産量は減少傾向にありました。
そこに追い討ちをかけるように新型コロナウイルスが蔓延し、生産数はますます減少。さらにはパンデミックによって港湾作業員不足になり、輸入港での荷役作業が停滞してしまいました。
これにより、世界的なコンテナ不足に陥ってしまったのです。
コンテナの需要に対して供給が追いついていないため、もちろん料金は上昇。スポット運賃は2〜6倍にまで跳ね上がりました。
住宅資材や設備に必要な素材を輸入するための費用の上昇が、住宅価格の値上げが続いている原因の一つです。
鉄の輸入価格の上昇
鉄の輸入価格の上昇も、住宅価格の上昇に大きく関係しています。
住宅のキッチンや窓サッシ、エアコンなどの設備、ガルバリウム鋼板などをつくるためには鉄がたくさん必要です。
鉄は住宅に欠かせない原材料なので、鉄の輸入価格の高騰は住宅価格にも影響を与えます。
鉄の価格が上昇した背景には、ウッドショックと同様に米中での住宅需要の増加が関係しており、中国が鉄鉱石を高値で買い取っていることが原因だといわれています。
世界銀行が発表している国際取引価格によると、2019年12月と比べて2021年6月には、鉄鉱石の価格が130%もアップし、現在も価格高騰が止まらない状態です。
「輸入価格が上昇したのなら自国で補えばいい」と思うかもしれませんが、日本では鉄鉱石を掘るためのコストがかかりすぎるため、鉄鉱山のほとんどが閉鎖されています。
鉄鉱石を輸入に100%頼っている日本は、世界的な鉄鉱石の価格高騰の影響によって住宅資材や設備を値上げせざるを得なくなってしまったのです。
中国での鉄鉱石需要はすぐに収まるとは考えにくいので、鉄鉱石の価格の上昇はしばらく続くと予想されます。
ロシアのウクライナ侵攻
ロシアのウクライナ侵攻は、日本の住宅価格にも影響を与えています。
2022年2月に開始されたロシアのウクライナ侵攻を受け、日本政府はロシアに対してさまざまな経済措置を取り、輸入の禁止も行いました。
政府が定めた輸入禁止対象の一つにはロシア産木材も含まれており、これまでは安価にたくさん輸入していた木材を突然入手できなくなってしまったのです。
そしてロシア側も日本を「非友好国」とし、2022年末まで木材チップ・丸太・単板などの木材製品の輸出を一切禁止すると発表しました。
日本が輸入していた単板は約8割をロシア産が占めていたため、輸出禁止によって木材需給のバランスが大きく崩れてしまったのです。
そしていま最も懸念されているのが、合板不足による「合板(ベニヤ)ショック」です。合板の表面に使われていたロシア赤松が手に入らなくなったことで、合板の生産は2割ほど減り、さらに接着剤の原材料である原油価格の高騰も相まって価格はどんどん上昇。2021年3月と2022年6月を比べると、合板の価格は2倍に高騰しています。
コロナ禍による木材不足に加えて、ロシアのウクライナ侵攻による輸入禁止措置が、木材不足にさらに拍車をかけている状態です。
円安による輸入費用の増加
2022年に入って円安が加速し、一時1ドル=136円台後半という約24年ぶりの円安・ドル高水準を叩き出しました。円安になると輸入をするための費用が増えるので、これまでよりも仕入れ価格が高くなってしまいます。
ここまで説明したように、日本は住宅を建てるために必要な資材の多くを輸入に頼っているため、円安による影響は非常に大きいです。
コロナ禍によるウッドショックやアイアンショック、コンテナ料金の上昇、さらにウクライナ情勢によって素材が上昇している状態に、円安による輸入費用の増加。
住宅会社や設備メーカー側も、事業を続けるためには値上げをせざるを得ない状態なのです。
住宅価格の高騰はいつまで続く?今後の展望
ここまでは、住宅価格が上昇している原因について解説してきました。住宅購入を検討している方が一番気になるのは「高騰はいつまで続くのか」ということでしょう。
結論からいうと、住宅価格の値上げはこのまま続くと予想されます。
ウッドショックは2022年に入って落ち着いてはきたものの、木材価格の上昇は続いており、先述のように合板不足も深刻化してきました。
さらに2021年9月に起こったギニア政変の影響で、アルミニウムの原材料であるボーキサイトの供給制約が行われ、アルミニウム価格も高騰しました。
これを受け、アルミニウム製品も相次いで値上げされています。
世界的に見ても、ものを製造するための素材の値上げが止まらない状態なのです。
素材の高騰は、そもそもの原因であるコロナウイルスやウクライナ情勢、円安が収まらない限りは続くと予想されます。
しかし、これらの問題が収まったからといって、市場にすぐ反映されるわけではありません。そのため、少し購入時期をずらしたからといって、住宅価格が値下がりする可能性は極めて低いです。
もし数年以内に住宅購入を検討しているのであれば、これ以上値上げされる前に早めの決断をした方が良いと言えるでしょう。
2022年の住宅設備の値上げ状況については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
>2022年は建築費用が高騰!住宅購入は見送るべき?
結論からいうと、住宅価格の値上げはこのまま続くと予想されます。
ウッドショックは2022年に入って落ち着いてはきたものの、木材価格の上昇は続いており、先述のように合板不足も深刻化してきました。
さらに2021年9月に起こったギニア政変の影響で、アルミニウムの原材料であるボーキサイトの供給制約が行われ、アルミニウム価格も高騰しました。
これを受け、アルミニウム製品も相次いで値上げされています。
世界的に見ても、ものを製造するための素材の値上げが止まらない状態なのです。
素材の高騰は、そもそもの原因であるコロナウイルスやウクライナ情勢、円安が収まらない限りは続くと予想されます。
しかし、これらの問題が収まったからといって、市場にすぐ反映されるわけではありません。そのため、少し購入時期をずらしたからといって、住宅価格が値下がりする可能性は極めて低いです。
もし数年以内に住宅購入を検討しているのであれば、これ以上値上げされる前に早めの決断をした方が良いと言えるでしょう。
2022年の住宅設備の値上げ状況については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
>2022年は建築費用が高騰!住宅購入は見送るべき?
まとめ
新型コロナウイルス・ウクライナ情勢・円安などの影響で資材や設備の価格が値上げされたことにより、住宅価格は2020年から2年の間に10%も値上げされました。
この状況を落ち着かせるためには、高騰を引き起こした原因を解決させる必要がありますが、先行き不明な状態なのでしばらくは値上げが続くと予想されます。
しかし、家づくりで大切なのは価格だけではありません。
社会情勢を考慮することももちろん大切ですが、住宅購入で最も大切なのは「資金計画」です。
現状を踏まえ「どのくらいの費用で家を建てられるか」「毎月いくらまで返済できるか」などを家族でしっかりと話し合い、家づくりに向き合ってみてください。
>家づくりは何からはじめる?注文住宅を建てる前にすべきこと
この状況を落ち着かせるためには、高騰を引き起こした原因を解決させる必要がありますが、先行き不明な状態なのでしばらくは値上げが続くと予想されます。
しかし、家づくりで大切なのは価格だけではありません。
社会情勢を考慮することももちろん大切ですが、住宅購入で最も大切なのは「資金計画」です。
現状を踏まえ「どのくらいの費用で家を建てられるか」「毎月いくらまで返済できるか」などを家族でしっかりと話し合い、家づくりに向き合ってみてください。
>家づくりは何からはじめる?注文住宅を建てる前にすべきこと
著者(井本ちひろ)プロフィール
工業大学建築系学部卒業。
FP2級技能士。
キッチンメーカーで、キッチン、風呂、洗面、トイレのプランニングなど行う。
家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中
子育て中の母でもあり、主婦目線での貯蓄、資産運用なども得意。
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