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【FPが解説】住宅ローンを組んだら生命保険は解約しても大丈夫?
「住宅ローンは生命保険の代わりになるらしい」「ローンの返済もはじまったし、支出を抑えるために保険は解約したい」という声を多く聞きます。
たしかに団信に加入すれば、契約者に万が一のことが起こったときにローン残高が保障されます。
しかし、団信に加入したからといって、安易に生命保険を解約してしまうのは危険です。
今回はファイナンシャルプランナーである筆者が、住宅ローンと生命保険の関係性や、保険見直しのポイントを解説していきます。
住宅ローンを組むときには、金融機関から「団体信用生命保険(以下、団信)」への加入が義務付けられていることがほとんどです。
冒頭にも書いたように、団信に加入していれば契約者の死亡や高度障害によって返済が難しくなった場合に、住宅ローンを保険会社に肩代わりしてもらえます。
そのため「ローンが保障されれば住居費もかからないし、生命保険料を払うのは無駄なのでは?」と考える方が多いのですが、団信の保障だけでは残された家族の生活が困窮するリスクがあります。
そのため団信に加入したときにすることは、解約ではなく「見直し」です。
たしかに団信に加入すれば、契約者に万が一のことが起こったときにローン残高が保障されます。
しかし、団信に加入したからといって、安易に生命保険を解約してしまうのは危険です。
今回はファイナンシャルプランナーである筆者が、住宅ローンと生命保険の関係性や、保険見直しのポイントを解説していきます。
住宅ローンを組んだら生命保険の解約ではなく「見直し」を
住宅ローンを組むときには、金融機関から「団体信用生命保険(以下、団信)」への加入が義務付けられていることがほとんどです。
冒頭にも書いたように、団信に加入していれば契約者の死亡や高度障害によって返済が難しくなった場合に、住宅ローンを保険会社に肩代わりしてもらえます。
そのため「ローンが保障されれば住居費もかからないし、生命保険料を払うのは無駄なのでは?」と考える方が多いのですが、団信の保障だけでは残された家族の生活が困窮するリスクがあります。
そのため団信に加入したときにすることは、解約ではなく「見直し」です。
住宅ローンを組んでも生命保険を解約してはいけない理由
団信に加入しておけば、契約者に万が一のことが起こったときにも家族は安心して住宅に住み続けられます。それなのになぜ、生命保険を解約してはいけないのでしょうか。
団信は生命保険の代わりになるという話もよく聞きますが、団信で保障されるのは「住宅ローン残高のみ」なので、ローンの残債以上の保険金が支払われることはありません。
残された家族に必要なお金は住居費だけではなく、生活費や子どもの養育費、住宅の修繕費用などもあるので、遺族年金や預貯金では足りない可能性もあります。
生活に足りないお金を補填できるのが、死亡保険金です。団信に加入したのなら、団信保障を加味して生命保険の見直しを行いましょう。
ここまでお伝えしてきたように、団信は住宅ローン残高を保障するための保険なので、ローンの完済とともに保障期間も終了します。生命保険を解約してしまうと、ローンの完済後には保険未加入の状態になってしまうのです。
つまり、自分に万が一のことがあったときにも、残された家族は何も保障されないということです。
年金を受給している場合には、夫の死亡によって妻の年金受給額は大幅に減ってしまいます。
「それならローン完済後に再加入しよう」と考えるかもしれませんが、生命保険は歳を重ねるごとに加入条件が厳しくなり、持病を抱えている場合には加入自体できない可能性もあります。
つまり「加入したくでもできない」という状態になる可能性も大いにあるのです。家族の老後の生活を守るためにも、解約ではなく見直しをお勧めします。
団信で保障されるのはローンの残債だけだから
団信は生命保険の代わりになるという話もよく聞きますが、団信で保障されるのは「住宅ローン残高のみ」なので、ローンの残債以上の保険金が支払われることはありません。
残された家族に必要なお金は住居費だけではなく、生活費や子どもの養育費、住宅の修繕費用などもあるので、遺族年金や預貯金では足りない可能性もあります。
生活に足りないお金を補填できるのが、死亡保険金です。団信に加入したのなら、団信保障を加味して生命保険の見直しを行いましょう。
ローンを完済すると保障期間も終了するから
ここまでお伝えしてきたように、団信は住宅ローン残高を保障するための保険なので、ローンの完済とともに保障期間も終了します。生命保険を解約してしまうと、ローンの完済後には保険未加入の状態になってしまうのです。
つまり、自分に万が一のことがあったときにも、残された家族は何も保障されないということです。
年金を受給している場合には、夫の死亡によって妻の年金受給額は大幅に減ってしまいます。
「それならローン完済後に再加入しよう」と考えるかもしれませんが、生命保険は歳を重ねるごとに加入条件が厳しくなり、持病を抱えている場合には加入自体できない可能性もあります。
つまり「加入したくでもできない」という状態になる可能性も大いにあるのです。家族の老後の生活を守るためにも、解約ではなく見直しをお勧めします。
生命保険を見直すときのポイント
生命保険を見直そうと思ったとき、いったい何を見直せばいいのでしょうか。ここでは、生命保険を見直すときの2つのポイントをお伝えします。
「必要保障額」とは、住宅ローンの契約者(世帯主)が亡くなったあとに、残された家族の生活に必要なお金から、残された家族が得られるお金を差し引いたときに不足する金額をいいます。
生命保険を見直す際には、上記のような支出から収入を差し引き、足りないお金(不足分)を死亡保険金でまかなえるように、死亡保険金額を考えます。団信に加入している場合はローンの返済が必要ないので、支出の減少によって必要保障額も少なくなります。
とはいっても数ヶ月、数年でなく数十年単位でのお金になるので、金額に驚くかもしれません。
ローン契約者が死亡した場合の必要保障額を、簡単にシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
・4人家族
・夫 35歳(ローン契約者、会社員、厚生年金)
・妻 35歳(パート、国民年金、50年後85歳まで計算)
・子ども 5歳(幼小中高すべて公立、私立大学、独立まで17年)
・子ども 2歳(幼小中高すべて公立、私立大学、独立まで20年)
・生活費:月25万円
※団信に加入しているため、住居費は含めないこととする。
上記の金額を「支出ー収入=必要保障額」の計算式に当てはめると、1億2,569万円(支出)ー9,833万円(収入)=2,736万円(必要保障額)となるため、「2,736万円」を生命保険でまかなう必要があります。
ただし、今回紹介した金額はあくまでもシミュレーションなので、配偶者の収入や子どもにかかる教育資金によって必要保障額は大きく変化します。
生命保険の見直しを行う際には、自分たちの生活費をしっかりと把握し、より具体的なシミュレーションをしてみてください。
保険を見直す際には、保障内容の「重複」と「不足」を確認することが大切です。前述したように、生命保険に加入する際には家族の必要保障額をもとに保険金額を算出します。
そのため住宅購入前に生命保険に加入した方は、必要保障額に住居費も含まれているので、団信の保障内容と重複している可能性が高いです。
例えば、住居費の2,400万円を考慮して5,000万円の死亡保障をかけていた場合、住居費の2,400万円は必要ないので保険金を5,000万円から3,600万円まで減額することが可能です。
見直しによって保険金を減額できれば、保険料も大きく減額されるので家計への負担も減らすことができます。
次は「不足分」を考えてみます。団信や生命保険に加入すれば、契約者の死亡や高度障害に備えられますが、病気やケガによる経済リスクには備えられません。
団信以外や死亡保険以外で備えておくべき保険には、次のようなものがあります。
住宅ローンの返済は、契約者が病気やケガ(高度障害除く)で働けない状態になっても、免除されないので、収入が減ったとしても返済義務は続きます。
病気やケガに備えて、団信加入時に収入保障の特約を付ける方法もありますが、途中からの加入はできないので、もし付帯をしていないのであれば保険で備えるしかありません。
保険を見直す際には、働けなくなったときの経済リスクも考えて内容を見直しましょう。
死亡保険の必要保障額を確認する
「必要保障額」とは、住宅ローンの契約者(世帯主)が亡くなったあとに、残された家族の生活に必要なお金から、残された家族が得られるお金を差し引いたときに不足する金額をいいます。
残された家族の生活に必要なお金(支出) |
残された家族が得られるお金(収入) |
・生活費 ・子どもの養育費、教育費 ・子どもの結婚資金 ・住居費用(管理費、修繕費用) ・お葬式、お墓購入費用 |
・遺族年金 ・死亡退職金、弔慰金 ・配偶者の労働収入 ・配偶者の退職金、年金 ・自己資産(預貯金など) |
生命保険を見直す際には、上記のような支出から収入を差し引き、足りないお金(不足分)を死亡保険金でまかなえるように、死亡保険金額を考えます。団信に加入している場合はローンの返済が必要ないので、支出の減少によって必要保障額も少なくなります。
とはいっても数ヶ月、数年でなく数十年単位でのお金になるので、金額に驚くかもしれません。
ローン契約者が死亡した場合の必要保障額を、簡単にシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
・4人家族
・夫 35歳(ローン契約者、会社員、厚生年金)
・妻 35歳(パート、国民年金、50年後85歳まで計算)
・子ども 5歳(幼小中高すべて公立、私立大学、独立まで17年)
・子ども 2歳(幼小中高すべて公立、私立大学、独立まで20年)
・生活費:月25万円
※団信に加入しているため、住居費は含めないこととする。
支出見込額 |
収入見込額 | ||
生活費 | 9,360万円 | 配偶者収入 | 3,000万円 |
教育資金 | 2,654万円 | 遺族年金 | 6,333万円 |
お葬式、お墓費用 | 195万円 | 預貯金 | 500万円 |
子どもの結婚資金(2人分) | 360万円 | ||
合計 | 約1億2,569万円 | 合計 | 約9,833万円 |
上記の金額を「支出ー収入=必要保障額」の計算式に当てはめると、1億2,569万円(支出)ー9,833万円(収入)=2,736万円(必要保障額)となるため、「2,736万円」を生命保険でまかなう必要があります。
ただし、今回紹介した金額はあくまでもシミュレーションなので、配偶者の収入や子どもにかかる教育資金によって必要保障額は大きく変化します。
生命保険の見直しを行う際には、自分たちの生活費をしっかりと把握し、より具体的なシミュレーションをしてみてください。
保障内容の重複と不足を確認する
保険を見直す際には、保障内容の「重複」と「不足」を確認することが大切です。前述したように、生命保険に加入する際には家族の必要保障額をもとに保険金額を算出します。
そのため住宅購入前に生命保険に加入した方は、必要保障額に住居費も含まれているので、団信の保障内容と重複している可能性が高いです。
例えば、住居費の2,400万円を考慮して5,000万円の死亡保障をかけていた場合、住居費の2,400万円は必要ないので保険金を5,000万円から3,600万円まで減額することが可能です。
見直しによって保険金を減額できれば、保険料も大きく減額されるので家計への負担も減らすことができます。
次は「不足分」を考えてみます。団信や生命保険に加入すれば、契約者の死亡や高度障害に備えられますが、病気やケガによる経済リスクには備えられません。
団信以外や死亡保険以外で備えておくべき保険には、次のようなものがあります。
● 医療保険:病気やケガで入院したり手術を受けたりしたときに保険金が支払われる保険
● 就業不能保険:病気やケガによる入院や療養で長期間働けないときに、毎月給付金を受け取れる保険
● 就業不能保険:病気やケガによる入院や療養で長期間働けないときに、毎月給付金を受け取れる保険
住宅ローンの返済は、契約者が病気やケガ(高度障害除く)で働けない状態になっても、免除されないので、収入が減ったとしても返済義務は続きます。
病気やケガに備えて、団信加入時に収入保障の特約を付ける方法もありますが、途中からの加入はできないので、もし付帯をしていないのであれば保険で備えるしかありません。
保険を見直す際には、働けなくなったときの経済リスクも考えて内容を見直しましょう。
まとめ
団信に加入して住宅ローンを組んだ場合には、生命保険の解約ではなく「見直し」を検討してください。保障内容に重複があれば、見直しによって保険料を減額できる可能性もあります。
反対に不足する保障部分は、見直しを機にしっかりと備えておきましょう。
保険は残された家族のために加入するものです。
この機会に、生活に必要なお金や保障について、家族でしっかりと話し合ってみてください。
反対に不足する保障部分は、見直しを機にしっかりと備えておきましょう。
保険は残された家族のために加入するものです。
この機会に、生活に必要なお金や保障について、家族でしっかりと話し合ってみてください。
著者(井本ちひろ)プロフィール
工業大学建築系学部卒業。
FP2級技能士。
キッチンメーカーで、キッチン、風呂、洗面、トイレのプランニングなど行う。
家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中
子育て中の母でもあり、主婦目線での貯蓄、資産運用なども得意。
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