不燃木材って何?内装に使える「燃えにくい木材」の基準とは
劇場や百貨店など人が多く集まる建物や、キッチンなど火を使う場所の内装には、「防火材料」という燃えにくい素材を使わなければならないことがあります。
ふつうこのような場所の壁や天井に可燃物である木材は使えないため、燃えにくい加工を施された「不燃木材」という材料が開発されています。
今回は、防火材料の基準や、内装制限について詳しく解説します。
建築基準法における防火材料の基準
防火材料とは、国土交通省によって認められた材料のこと。建築基準法で以下のように基準が定められています。
1. 燃焼しないものであること
2. 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること
3. 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること
建築基準法施工例代108条の2より
不燃材料・準不燃材料・難燃材料の違い
防火材料は、加熱されたときに何分間「燃焼しない・変形しない・有害な煙やガスを発生しない」という条件を満たせるかによって3種類に分類されています。
■防火材料の3区分
種類 | 性能 | 例 |
不燃材料 | 加熱開始後20分 | コンクリート、れんがなど |
準不燃材料 | 加熱開始後10分 | 厚さ9mm以上のせっこうボード、厚さ15mm以上の木毛セメント板など |
難燃材料 | 加熱開始後5分 | 難燃合板、厚さ7mm以上せっこうボードなど |
防火材料はあらかじめ「建設省告示」で定められたもののほか、決められた試験法で防火性能を確認して認定を受けることもできます。
病院や劇場など人が多く集まる建物などでは、火災時の安全性を高めるため、室内の1.2m以上の高さの壁部分や天井に防火材料を使うことが義務付けられています。これを「内装制限」といいます。木材は可燃物のため、無処理の状態では内装制限のある場所には使うことができません。
内装制限のある場所に木材を使うために、木材に防火処理をすることで防火材料と認可された木材があります。加熱後20分間防火性能を有した木材が「不燃木材」、10分だと「準不燃木材」、5分だと「難燃木材」と呼ばれます。こういった木材の開発により、さまざまなところの内装に木材を使うことができるようになっています。
住宅の内装に木材を使うときの制限はある?
住宅では「火気使用室」においては、建築基準法で定められた防火材料を使わなければなりません。コンロを使うキッチンや、暖炉を使う部屋などの壁や天井の材料については注意が必要です。
オープンキッチンなどリビングやダイニングとキッチンが一体化している場合、特に注意が必要です。キッチンとの間に「垂れ壁」を設置しなければ、リビングやダイニングまで内装制限に引っかかってしまうことがあります。
ただし、住宅において火気使用室が建物の最上階にある場合は、内装制限を受けません。つまり、2階建ての戸建住宅の2階にキッチンがある場合などは大丈夫だということです。マンションなど耐火構造の壁で防火区画されていたり、IHクッキングヒーターを使っていたりする場合も、内装制限の対象とならないことがあります。
内装制限の対象となる場所を木材で仕上げたい場合は、一般的な木材は使えません。不燃木材や準不燃木材など防火材料として認定を受けた木材を使うという選択肢があります。建築基準法や自治体の法令などをしっかり確認して材料を選択しましょう。
住宅専門ライター